Don't try to control your golf club for better putting performance
Jahanian Najafabadi, A.・Godde, B. / 2025 / OSF Preprints
長年の経験と定期的な練習を積んだアマチュアゴルファー10名(対照群:球技経験のあるハンドボール選手)を対象に、パッティング課題/投球課題の前後で、道具(クラブ)への所有感覚・主体感覚と、腕の距離感覚・手が届く範囲の推定精度の関係を調べた研究(Jahanian Najafabadi & Godde, 2025)。クラブへの所有感覚・主体感覚が強いゴルファーほど、腕の距離感覚や手が届く範囲の推定の誤差が小さくなっていた。
道具を、腕のように扱う
長年使い込んだ道具は、まるで自分の腕が伸びたかのように扱えるようになります。この現象は身体表象(body schema)の研究分野で、道具の身体化(tool embodiment)と呼ばれています。道具との接触・使用を通じて、脳が道具を一時的に自分の身体の一部として組み込んでいく、という考え方です。
ゴルファーを対象にした研究
2025年に発表された研究(Jahanian Najafabadi & Godde, 2025)では、この現象がスポーツの現場でも起きているかが調べられました。
対象は、長年の経験と定期的な練習を積んだアマチュアゴルファー10名。対照群として、球技経験のあるハンドボール選手が置かれました。ゴルファーにはパッティング課題を、ハンドボール選手にはボールを投げる課題を行ってもらい、その前後で「自分の腕の感覚」と「手が届く範囲の感覚」がどう変化するかを測定しています。
課題後、クラブへの所有感覚・主体感覚が強いゴルファーほど、腕の距離感覚や、手が届く範囲の推定の誤差が小さくなっていた。
つまり、クラブを「自分のものだ」「自分が操っている」と強く感じているゴルファーほど、自分の身体そのものの感覚が、より正確になっていたということです。道具への一体感と、身体感覚の精度は、連動していました。
興味深いのは、ここから
パッティングの成績が良かった人ほど、クラブへの所有感覚・主体感覚は、むしろ低い傾向にありました。
研究者らは、クラブを意識してコントロールしようとする意識が薄いほど、クラブは身体表象により深く統合され、結果としてパフォーマンスも高まる、と結論づけています。
ワークショップとのつながり
道具を通して、まだ知らない、出会っていない自分の体の感覚と出会う。それは、単純に面白いことです。
自分のことを、他人という鏡を通して知ることがあるように、自分の体もまた、体以外の何かからフィードバックを受け取ることで、新しい気づきが芽生えやすくなります。モビリティスティックは、当日そのための道具として機能します。「正しく操作しよう」と意識しすぎるよりも、道具の存在に体を委ねていくような感覚のほうが、その気づきを引き出しやすいのかもしれません。
