-部分としては正解、を超える包括的アプローチ- インテグラル理論は、ある物事一つ、取り組み一つに対して、全体的な視点から人間や社会の発達を考察するための統合的かつ包括的なフレームワークです。アメリカの意識研究家ケン・ウィルバーによって提唱されたものであり、これは、個人や組織の変容・成長への統合的な見取り図を示してくれます。インテグラル理論はメタ理論とも言われ、この理論は生物学・心理学・哲学・宗教などさまざまな領域の知識を組み合わせており、より包括的な理解と行動プランを提供してくれます。 -四象限- インテグラル理論はメタ理論(それが他の理論やアプローチを包含し、統合する能力を持っている)でもあり、その適用範囲が全体(ひとつの理論全体)の全体(多数の理論の全体の統合)であるがゆえに抽象概念を用いることが多々あり、それを活用するとなるとやや難解さを伴います。そこで、そのインテグラル理論の代表的な問題解決・包括的成長促進のための代表的枠組みを一つご紹介いたします。「四象限」という概念です。 四象限とは、個人と集団の内面と外面を表すひとつの方法です。 ここでは、テーマをトレーニングと設定し、どのようにパーソナルトレーニングの現場でこのインテグラル理論が活用できるかをみていきます。 [木を見て森を見ずにならないために]
例えば、クライアントのある方が、目標をかっちりとイメージされており、そのためのメニューを作成してほしいとオーダーをされるとします。トレーナーもうっかりそのことだけに意識がとられてしまい、言われた通りのことばかりを準備します(左上象限)。しかし、その方のこれまでの運動歴を尋ねることなく(右上象限)、クライアントの方との建設的なコミュニケーションを図ることなく(左下象限)、もしかすると病院にかかっていたかもしれないという事実を取り逃がしてしまっているかもしれません(右下象限)。ここまではトレーナーの目線での活用方法でしたが、クライアント側も一緒にこの理論にのっとって、ご自身のパーソナルトレーニングの進め方の見取り図を準備することができます。 さて、もしかすると、そんな当たり前なことを..と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そうなのです。当然ですがその当たり前という基本を抑えるだけで、結果は格段に出やすいのです。どこかに比重が偏りすぎてアンバランスになった時に、継続性とモチベーションが途絶えてしまいます。自分の偏りはなんなのか。自分が考慮していない範囲はなんなのか?それを一目で教えてくれるのがインテグラル理論の四象限です。 さて、ここまでのインテグラル理論のご紹介、いかがでしたでしょうか? 私(早田)自身がこれまでの長い期間、トレーニングのことをトレーニングだけで理解しようとしていたことに気がつき、あえてその領域を飛び出して外からトレーニングという価値と限界を精査することになり、その時に助けられた理論がこのインテグラル理論です。 日本でもさまざまな書籍において、この理論が紹介されていますが、それらの主な活用の場は、企業、組織開発、コーチング業において散見します。今後は、トレーナーなどの対人支援者にも活用の場が増えていくのではないかと思います。 Navigate 早田 |
Author Wataru Soda Archives
12月 2024
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