-特別な運動-
健常者と特殊な状況にある人の運動は違うのでしょうか? 特殊な状況の中でも今回は「妊娠」という状況による運動の有益性やリスク管理について綴っていきたいと思います. まず, 運動するべきなのか否か. ということに関して言えば, 『妊娠期間中に規則的に運動を行うと, 母体と胎児の健康/体力に有益でる*1, 2』と結論づけられています. 妊娠期誘発性高血圧や糖尿病のリスクも少なくなると言われています. そして, 運動で得られる効果が妊娠期特有のものであることに加えて, 注意すべきポイントもそこには特徴があります. それは, 運動の禁忌事項です. 例えば, いわゆる「背筋運動」は行ってはいけません. これは, 妊娠初期(妊娠15週まで)以降はうつ伏せでの運動は避けるべきとされています. その理由は, 「静脈閉塞(血圧上昇)」が起こらないようにするためです. また, 息をグッとこらえるようなトレーニングも禁止です. -どのくらい運動をしていいのか- さて, 身体に大きな変化がある妊娠ですが, 実は妊婦に勧められている運動処方は, なんと成人に対して推奨されている一般的な処方と同じです*3. まず, 頻度で言えば「少なくとも週3回〜できれば毎日」とされています. 強度に関しては「運動中に会話ができる程度の強度」で運動をすることを勧めています. これは, 「ややきつい」となる程度です. もちろんそれは自分が思う(主観的)「ややきつい」の運動で問題ありません. 時間は一日15分から始めて, 徐々に慣れてきたら筋力トレーニングや有酸素運動を合わせて30分行いましょう. -Navigateではどうするのか- 現在, 提携先の産婦人科では産後の運動を指導していますが, その必要性は産前にもあると思います. 産前の運動は. 分娩をスムーズに進める上でもプラスに作用しますし, 産後の身体の状態にも影響してきます. また, 産前産後で骨盤にはとてつもない負荷が加わっていきます. それは一生の中で最も大きい負荷ともいえるでしょう. 筋・腱・靭帯は引き伸ばされ, 産後はその全てが緩んだ状態です. これは足首でいうと, 捻挫を起こしている状態です. 足首を捻挫したら, 病院に行って, 包帯を巻いたりテーピングを行ったりしケアをするはずです. ですが, 足首の捻挫どころではない出産後になぜケアをしないのでしょうか. いや, なんとなくその必要性は感じているのですが, 何を行えばいいのかがわからないということですよね. そこでNavigateでは骨盤底筋群といわれる部位を鍛えることを推奨しています. その他, 大筋群を鍛えることもお勧めします. 大筋群とは大きな筋肉という意味です. お尻やふともも背中を鍛えるものです. いずれにしても, 安全安心という根本的なベースが整って運動をすると心穏やかで過ごせそうですよね. 運動は前向きな心持ちにもしてくれます. 母子ともにニコニコの毎日にするためにも産前産後でフィットネス!という発想をぜひ. *1, American College of Obstetricians and Gynecologists. Exercise during pregnancy and the postpartum period. ACOG Committee Opinion No. 267. Obstet Gynecol. 2002;99:171-3. *2, Dempsey FC, Butler FL, Williams FA. No need for a pregnant pause: physical activity may reduce the occurrence of gestation diabetes mellitus and preeclampsia. Exerc Sports Sci Rev. 2005;33:141-9 *3, ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription TENTH EDITION |
Author Wataru Soda Archives
11月 2024
カテゴリ
すべて
|