-運動リスク? 疾患リスク?-
2019年にアメリカスポーツ医学会が"Resistance Training for Health"という内容を公表しました. そこにはレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を行うことによる恩恵とそれを効果的に引き出す為の有効な方法が記載されています. 筋力トレーニングを行なっている全ての年齢と体力レベルの人は, 多くの疾患にかかるリスクを減らし, 生活の質を向上させ, 死亡率を下げるのです. -Resistance Training Can Help You!!- 筋力トレーニングはとてもとても多くの身体的不調に効果的に働いてくれます. 関節炎・ガン・循環器疾患・認知症・うつ・糖尿病・転倒リスク・高血圧・不眠症・腰痛・メンタルヘルス・運動障害・肥満・骨粗鬆症・脳卒中. 実に多くの"状態"に対してその有効性が確認されています. 今や 病気×筋トレ でのリスク軽減や予防法はトレンドと化しています. これまでもこれからもさらに筋力トレーニングの効果と有効性は研究されていくでしょう. -時間の密度を高める- さて, そうは言ってもむやみやたらと行なっても効率的ではありません. どのような分野でも"それ"に人生をかけて研究をしている人がいます. 自己流ではなく, せっかくだったら先人たちの恩恵と先輩方の知恵と知識を受け取りながら初めていきましょう. 以下に今後スポーツクラブや公共施設で, マシンエクササイズを始めていく方へ向けたエクササイズの目安を記しておきます(ACSM参考). <Exercise Plan> ・フリーウェイトマシンやトレーニングバンドを用いて行う ・8~10種類のエクササイズを行い主要筋群(大筋群)に効かせる ・8~12回で限界となるような負荷で2-3セット行う ・マシンは2秒で上げて2秒で下げるように行う ・各セットのラスト一回が限界を迎えるような負荷強度に設定する ・週に2~3回行う -動く楽しさ- 上記に挙げたことが, 運動(筋力トレーニング)を行うことによるいわばメリットなのですが, 日本の"トレーニング科学"の父とも言える首都医校校長の宮下充正先生(トレーナー が勉強する教科書の多くの源泉は宮下先生が執筆されている)は運動のメリットももちろん多くあることだけど, 「生命ある限り動ける喜びを味わうために運動しましょう」と仰っていました. それだけ多くの業績を残されてきた方が, 運動のメリットを最終的には「動けるのは楽しいことだから」と語るのはトレーナーとして大切にしないといけない部分だと痛切に響きました. -Navigateではどうするのか- 段階的思考と段階的トレーニング. 私は"徐々"にという単語が好きです. それと同時に"気づいたら"という言葉もクライアントとの間で一緒に共有していきたいキーワードです. 【初めはこんなだったのに今ではこんなになりました】それが旅先で運動をするとか, 関心がなかったランニングを始めるとか, 自宅でストレッチをしたとか, 食事をちょっと意識するようになるとか. 気がついたらと自分を大切にするようになっているということです. 運動の魅力一つは自分をみるようになることです. そして, トレーナー を"もつ"というのはその間に育まれる感情を共有するということです. それは通常のシェアとは一味違い, その意味に"一緒に育てる"という意味が付け加わります. つまり, 時間の経過を一緒に感じていくということです. さてさて, 楽しく身体を動かして心まで温かい気持ちになっていきましょう! 参考引用文献 Authors: Fiataraone Singh, Maria; Hackett, Daniel; Schoenfeld, Brad; Vincent, Heather K.: Wescott, Wayne. 2019 American College of Sports Medicine®︎ LEADING THE WAY -腸腰筋を知る・感じる- 硬い床の上で仰向けに寝て, 片方の膝を限界まで抱え込んでみる. その時にもう片方の脚が床から離れないかどうかをチェックすると, この腸腰筋の硬さを把握することができる. もし離れてしまった場合に懸念されることは, 下腹部の緩み/ 腰への負担増大 / ヒップダウンである. この腸腰筋(チョウヨウキン)が硬くなると, 反り腰になった上で, 上記3つの状態に陥るのだ.
反り腰であることのデメリットは, 背骨が正常なアライメントにとどまってくれないことにある. -硬いと短いは違うのか- 筋肉が硬くなるということは, その筋肉の"距離"が短くなるということである. 少し話は膨らむがここは大事なポイント. トレーナーはよく便宜的に「筋肉が硬くなる」と表現するが, 正しくは「筋肉が短くなる」である. これは筋肉はゴムのような伸び縮みをするものではなく, 鎖/チェーンのように輪っかがいくつも連なったものなのだ. ストレッチ不足や不活発な日常生活が続くと, この輪ゴムが"縮む"のではなく, チェーンが1つ(学術用語: サルコメア)ずつ失われていくのだ. さて, そのチェーンは少なくなるが, 身体は身体であり続けねばならない. となると, 骨の位置をずらすという調整が始まる. この腸腰筋の場合の調整は, 「へそ付近の背骨を前に引っ張り出す」ということを起こす. つまり, 反り腰. -遺伝子レベルでそうなる- その反った状態が, 下腹部への緩みにつながることは想像に難くないだろう. 実際にそのポーズ(反り腰)をとってみると, 下腹部は前に突き出てしまう. 続いて, 腰への負担増大に関しても, そのポーズをとった状態で, 重たい荷物を持ってみるのは気持ちが悪いと感じるはず. そして, ヒップアップではなく, ヒップダウンはお尻が重力方向に垂れてしまうことだが, これはお尻の筋肉: 大臀筋を使わなくなることによる. 筋肉は使わないとしぼみ, よく使うところは発達するという原理に基づいてプログラミングされている. -Navigateではどうするのか- さあ, "腸腰筋が短くなっている"からストレッチをしよう! それは腸腰筋のサルコメアがまだたくさんある状態(チェーンの数が豊富: 柔軟性が高い)なら効き感は高いはず. だが, サルコメアが多く喪失している場合(チェーンの数が欠乏: 柔軟性が低い)にはなかなか簡単にいかない… ストレッチ前の下処理が必要になってくるのだ. Navigateではコンプレッション→ストレッチ→トレーニング→ストレッチこの4STEPで対応していく. 筋肉をほぐして・伸ばして・縮めて・伸ばす. 筋肉が喜ぶことは伸び縮みを繰り返してあげること. どちらか一方では満足してくれない. 腸腰筋のエクササイズで美しい姿勢・メリハリのあるボディライン・爽快な歩き方を実現させよう. 参考引用文献: プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系, 監訳 坂井建雄, 松村譲兒, 医学書院 |
Author Wataru Soda Archives
11月 2024
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