-腸腰筋を知る・感じる- 硬い床の上で仰向けに寝て, 片方の膝を限界まで抱え込んでみる. その時にもう片方の脚が床から離れないかどうかをチェックすると, この腸腰筋の硬さを把握することができる. もし離れてしまった場合に懸念されることは, 下腹部の緩み/ 腰への負担増大 / ヒップダウンである. この腸腰筋(チョウヨウキン)が硬くなると, 反り腰になった上で, 上記3つの状態に陥るのだ.
反り腰であることのデメリットは, 背骨が正常なアライメントにとどまってくれないことにある. -硬いと短いは違うのか- 筋肉が硬くなるということは, その筋肉の"距離"が短くなるということである. 少し話は膨らむがここは大事なポイント. トレーナーはよく便宜的に「筋肉が硬くなる」と表現するが, 正しくは「筋肉が短くなる」である. これは筋肉はゴムのような伸び縮みをするものではなく, 鎖/チェーンのように輪っかがいくつも連なったものなのだ. ストレッチ不足や不活発な日常生活が続くと, この輪ゴムが"縮む"のではなく, チェーンが1つ(学術用語: サルコメア)ずつ失われていくのだ. さて, そのチェーンは少なくなるが, 身体は身体であり続けねばならない. となると, 骨の位置をずらすという調整が始まる. この腸腰筋の場合の調整は, 「へそ付近の背骨を前に引っ張り出す」ということを起こす. つまり, 反り腰. -遺伝子レベルでそうなる- その反った状態が, 下腹部への緩みにつながることは想像に難くないだろう. 実際にそのポーズ(反り腰)をとってみると, 下腹部は前に突き出てしまう. 続いて, 腰への負担増大に関しても, そのポーズをとった状態で, 重たい荷物を持ってみるのは気持ちが悪いと感じるはず. そして, ヒップアップではなく, ヒップダウンはお尻が重力方向に垂れてしまうことだが, これはお尻の筋肉: 大臀筋を使わなくなることによる. 筋肉は使わないとしぼみ, よく使うところは発達するという原理に基づいてプログラミングされている. -Navigateではどうするのか- さあ, "腸腰筋が短くなっている"からストレッチをしよう! それは腸腰筋のサルコメアがまだたくさんある状態(チェーンの数が豊富: 柔軟性が高い)なら効き感は高いはず. だが, サルコメアが多く喪失している場合(チェーンの数が欠乏: 柔軟性が低い)にはなかなか簡単にいかない… ストレッチ前の下処理が必要になってくるのだ. Navigateではコンプレッション→ストレッチ→トレーニング→ストレッチこの4STEPで対応していく. 筋肉をほぐして・伸ばして・縮めて・伸ばす. 筋肉が喜ぶことは伸び縮みを繰り返してあげること. どちらか一方では満足してくれない. 腸腰筋のエクササイズで美しい姿勢・メリハリのあるボディライン・爽快な歩き方を実現させよう. 参考引用文献: プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系, 監訳 坂井建雄, 松村譲兒, 医学書院 |
Author Wataru Soda Archives
12月 2024
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